幕末純想恋歌

「ふぬ〜〜!!」


「きゅ〜〜〜う、じゅ〜〜〜う!はい、時間切れで〜す」


「…何なのこの強さ…」


「鍛えてるからねぇ」


グッタリする葵。


本気でやってもびくともしないなんて。


しかも、始終クスクス笑ってたから本気でもないだろう。


なんか悔しい。



「それじゃあ、脱出できなかったのでお仕置きの時間です」


「え、あ、いや、それは…、ふぇっ!?」


じたばたする葵なんてお構い無しにお腹から抱っこする沖田。


そのまま縁側へ連行され、ストンと座らせられる。


膝の間に。


勿論抱いたまま。


「いいっていうまで、このままね」


「なんで!?」


「だって負けたでしょ?」

「そんな無茶苦茶な!だいたい、こんなとこ他の人に見られたらどうするんですか!?いらぬ誤解をされますよ!?」


「いいんじゃない?一夜を共にした仲だしさ」


「…え?………あれはお酒のせいで!!もう忘れてください!!一生の不覚なんですから!!それに一夜を共にってなんか、その、…いやらしいので止めてください…」


自分の不覚や今の体制を思いだして恥ずかしくなり、プイッと顔を背け拗ねる。


だが赤くなった耳を隠せてない。


「フフ、ごめんごめん。拗ねないで?これあげるから、ね?」


「?」


スッと差し出されたのは可愛い根付け。


チリン、


つけられた鈴が可愛い音を鳴らす。


「お土産だよ、大坂の。約束したでしょ?」


チリン


「あんまり見る時間がなかったんだけど、一目で気にったから、それ」


チリンチリン


目の前で揺らしてみる。


「…可愛い…」


「よかった。使ってくれると嬉しいな」


「大事にします」


「うん」


「ありがとうございます」


「うん」


「それで?」


「え?」


「これだけじゃないでしょう?わたしを呼び止めた理由」


「なんでそう思うの?」


「何となくです」


「…ハァー、鋭いなぁ…。……聞いてくれる?話」



ゆっくりと話し出す。