幕末純想恋歌


「しつこいぃ!?俺は葵を心配して」

「だって本当に何もないですもん!!」


言えるわけないよ…

坂本龍馬と桂小五郎にあったなんて…


「…はぁ、平助も葵もそこらでやめとけ」


いい加減土方が止めようとしたときだった。

バァンッ!!


「土方君!!大変なことにないました!!」


いつも落ち着いている山南が慌てたようすで駆け込んできた。


「大坂から急ぎの文です。大坂へ向かった面々が大坂にて力士と乱闘。こちらには目立つ被害はないですが、力士方には死人まででたようです」


「…チッ、なにしてんだよ。原因は…、勿論芹沢さんか…。くそっ」


土方が唇を噛み締めている。


「どうしますか、土方君。」


「どうもこうも、今は近藤さんに任せるしかねぇだろ。なんたって大坂だ。」


「ええ、私もそれしかないと。」


土方の言葉に山南が同意する。



土方、山南をはじめこの場にいる全員が険しい顔をしている。



「…くそ、芹沢め…」



誰かがボソリと漏らしたこと言葉は、声の大きさに反して響いた。


葵を除く皆の心を表しているようだった。



───このあたりから芹沢さんの運命は決まっていたのかもしれない。

近づいてくる何かの足音を聞きながらわたしはそう思った。



時代は静かに、それでも確実に、ゆっくりと動き出している。