固まっていた男が倒れる。


ずいぶんと、ゆっくりだった。


呆然とそれを見ていた。


「あ~あ、あっけないな~。」


この場には不釣り合いな、楽しげな声がした。


月が逆光でよく見えない。


でも、まだ若い男のようだ。


目があった。


「ねぇ、こんな所で何してるの?それに、その格好、君、異人?答えなよ。」


刀を突きつけられた。


「あ……。」


もう、何も考えられなくて。


意識が急に遠のいて、


私はあっさり手放した。