選択肢はなかった。


瑠琉が足を引きずるたびに
俺の心は痛くなる。


「気にしないで
肇のせいじゃないんだから」



力なくそういう瑠琉は
食事もとらなくなってきた。



一週間後
瑠琉の両親に呼び出された。



「娘を助けてくれないか。
せめて足がよくなるまで…」


もう俺は

首を縦に振るしかなかった。



新体操はできなくても
俺がいてくれたら
大丈夫



そう言って瑠琉は泣いた。



もうすぐ日本に戻るのに
俺は・・・・


また神様に罰を与えられた。



今度は取り返しがつかない。



未来の笑顔を
抱きしめることができなくなった。


瑠琉は

「うれしい」

そう言って俺の胸で
泣いていた。



予想外の出来事だった。
ここで起きたことは
全てクリアにできたはずなのに


未来はきっと俺を
ちゃんと待っている……。



俺の方が死んでしまいたかった。