屍の孤島

それでも鏑木の動きは止まらない。

苦痛に顔を歪めながらも、残る右手でトリガーを引く!

次々と命中する弾丸。

これ程の傷を負わされても、鏑木の射撃精度にはいささかの狂いも生じなかった。

まるで機械の精密射撃の如く、ゾンビの額に三つの風穴が開いていく。

実戦レベルで、しかも手負いの状態でこれ程の射撃を実行できるようになるまで、どれほどの訓練が必要なのか。

どれほどの修羅場を潜り抜けなければならないのか。

鏑木 京という男の歩んできた人生の凄まじさが、その事からも窺えた。

傷を負って尚、ゾンビの群れ相手に互角以上の鬼神の如き戦いぶりを見せる鏑木。

しかし。

「ちっ!」

思わず舌打ちがこぼれる。

グロックの弾が切れた。

新しいマガジンと交換しなければならない。

リリースボタンで空のマガジンを排出。

だが片腕は使えない。

流石にリロードに手間取る。

グロックを左脇に挟み、右手でジャケットの懐から新しいマガジンを取り出してリロード。

改めてグロックを握り直した瞬間。

「うぐぅっ!」

数体のゾンビが鏑木の首筋に、肩に、腕に食らいついた!