造船所の壁に沿って走りながら、連射を続行する。

たとえ走りながらでも、鏑木の射撃の精度は変わらない。

あらゆる状況で、彼の射撃は抜群の命中率を誇った。

グロックの射程距離ギリギリから撃たせても、彼は確実に標的を射抜く事が出来る。

熟練した殺し屋とはそういうもの。

得物、標的、状況を問わず、確実に仕事を遂行してこそのプロなのだ。

また弾丸が尽きた。

接近してくる一体のゾンビの腹に蹴りを入れ、距離を保ちながらリロード。

弾丸を補充した所で、額に三発撃ち込む!

まるで頭の中で小さな爆弾でも爆発したように、ゾンビは頭部から血を噴き出しながら倒れた。

「ふぅー…」

軽く溜息をつき、鏑木は立ち止まる。

何体仕留めただろうか。

とりあえず至近距離にいた奴は全部始末した。

ポケットの中からマルボロのケースを取り出し、一本咥える。

…視線を向けると、尚も内部に侵入してくるゾンビ達の姿が見えた。

「懲りないね、どうも…」

ダンヒルのライターで煙草に火を灯し、彼は紫煙を漂わせた。