幾ら規模の小さい病院とはいえ、エレベーターくらいはある。

電気が止まっている訳でもなく、稼動しているようだった。

が、夕映は階段で上の階に向かう事にした。

以前この病院でエレベーターの故障に見舞われ、僅かな時間ながら閉じ込められた経験があったのだ。

怪我もせず、事なきを得たものの、今日もし同じ事があればそうはいかない。

閉じ込められてそのまま餓死か衰弱死か、或いは何らかの拍子にゾンビの群れになだれ込まれるか。

どちらにしろ、ゾッとしない結末が待っている。

と。

「っ!」

背後から声がした。

唸るような、悶えるような声。

それは地獄の底から聞こえてくる、死者の苦悶の声にも聞こえた。

即座に振り向く。

どこに潜んでいたのか。

数体のゾンビが、夕映の背後にまで迫っていた!