『冷静』

『無感情』

『何を考えているかわからない』

初対面の人間も、学校のクラスメイトも。

大抵の人間が夕映の事をそう評する。

大きな誤解だ。

彼女は感情表現が下手なだけ。

人並みに恐怖も感じれば不安に思う事もある。

だが、今ここで泣き叫んだ所で何になるのか。

泣きじゃくり、助けを求めればどうにかなるのならば、幾らでもそうする。

そんな甘い状況ではないから。

頼れるのは己の身だけだから。

夕映は恐怖も不安も堪え、こうして毅然とした態度で島を探索している。

同じく島で生き残る道を探し求めている仲間達を信じて。

そして慕っていた祖母の生存を信じて。