一人小さく拳を握る。

そうと決まれば、こんな所で蹲っていても仕方がない。

逃げ込んでいた一室。

そのドアを微かに開き、外の様子を確認する。

ドアの隙間からは、ゾンビの姿は確認できない。

唸り声や摺り足の音は聞こえるものの、すぐそばにゾンビはいないようだった。

ならば今のうちに。

奏は勢いよくドアを開けて。

「ひゃあっ!」

ドアに何かがぶつかる衝撃に声を上げた。

奏のちょうど死角。

ドアの陰に、ゾンビが一体隠れていたのだ!