そんな島だから、病院もあまり規模が大きくない。

心療内科などというものも存在せず、小野寺は島民のメンタルケアの為、今回陰島の病院へと呼ばれたのだ。

高齢者ばかりの陰島。

不安を抱えている島民も多いと聞く。

そういった島民の悩みを聞いてやるだけでも、精神医学的には随分と良好に向かうのを、二十年近い精神科医としての経験から小野寺はよく知っていた。

島で診察をして欲しい。

そういう依頼を受けたのは一週間前。

色々と仕事が立て込んでやっと時間がとれた為、彼は昨夜になって島に向かう旨を陰島の病院に連絡した。

が、おかしな事に電話が繋がらない。

何度かけても、電話をとる気配が感じられなかったのだ。

仕方なく留守電に本日病院に行くとメッセージを残し、小野寺は連絡船に乗った。