「いい?…くっ…よぉく聞きなさいよ…っ!」

蟲に体内を侵蝕される激痛に耐えながら、梨紅は秀一に話し始める。

彼女がここで聞き出した、事の真相。

この井戸にゾンビ化の原因である寄生虫が住み着いている事。

あの男によってそれが解き放たれてしまった事。

梨紅は自分が手に入れた情報の全てを、秀一に託す事にしたのだ。

連絡船ではお互いに喧嘩し合った秀一と梨紅。

だがここに来て二人は、この島の異常事態を収束する為に協力していた。

「よしっ、わかった…さぁ、手を貸すから早くそこから…!」

何とか梨紅を助け出そうとする秀一。

しかし。

「あ…あんたなんかの手は…ぐぅっ!…か、借りないわよっ…!」

激痛に苛まれながらも、梨紅は精一杯の虚勢を張った。