屍の孤島

それだけは避けなければならない。

たとえもう自分は駄目だとしても、必死になって生き延びる手段を模索している仲間達の行く手を阻むような事だけは、何としても避けなければならない。

「あぐぅ…ぐぐ…がぁっ…!」

肘まで上がってきた『何か』。

その激痛に悶絶しながら、小野寺は上着のポケットを探る。

それは、刑事課で入手した手錠だった。

その手錠を自分の土気色の右手にはめる。

もう片方は留置場の鉄格子に。

小野寺は手錠の鍵を持っていない。

自分でも手錠は外す事はできない。

だがこれでいい。

このまま小野寺がゾンビ化して、思考も記憶も失ったとしても。

彼はここから離れる事は出来ない。

仲間達の前に立ちはだかり、彼らの命を奪うような事だけはないのだ。