屍の孤島

心臓に近い位置、胸の中央辺りに、見た事もない臓器が存在したのだ。

蒼白い色の臓器。

いや、臓器といっていいかどうかさえ怪しい。

それは全身に神経とも血管ともつかないような触手状の物を張り巡らせている。

その触手状のものの中を巡るのは、血液。

その蒼白い臓器が脈動する度に、血液が全身に送り出される。

小野寺は目を疑う他なかった。

これは、心臓だ。

謎の臓器は、死亡して停止した心臓の代わりに血液を送り出すポンプの役割を果たしていたのだ。

いわばこれが、ゾンビにとっての心臓。

だが幾らこの新たな心臓が動いていても、流石に頭部を破壊されては生命活動は続けられないらしく、ゾンビ達は頭を潰されると絶命するのだ。