それもそのはず、これはいわゆる厄介払い同然の縁談だった。


リスティーヌは女王である姉に嫌われていた上に、これはセルストとの服従にも近い同盟関係を確固たるものに出来る機会でもあった。


そのため、大臣達も反対は出来ず、たった数日であれよあれよという間にリスティーヌはこの馬車に詰め込まれ、セルストへと送り出されたのだった。


「はぁ……」


リスティーヌは馬車の窓から見える景色を眺めながらため息を吐いた。


かれこれ4日は馬車に乗りっぱなしの上、あと1日半はこれが続くのかと思うと気が狂いそうだ。


皆に気を使われ、何もせずに居ることなど、リスティーヌにとっては拷問同然のことだった。