史上最強お姫様の後宮ライフ覚書




「何の用だ、フューレ。」

弟の方を見ることもなく彼がそう尋ねると、フューレは扉を閉めながら小さく尋ねてきた。


「ねぇ、兄さん。新しい正妃候補にもう会ってきた?」

「……いや、まだだ。」


意味深な発言に一瞬だけ顔をしかめて彼はフューレを一瞥する。

すると、何やら気まずそうな表情をした弟の顔が目に入った。


「――問題でもあったのか?」

「いや、そういうわけじゃないんだけどね…」


そうは言われたものの、そのように言葉を濁されれば気になるだろう、と心の中で彼は呟く。