そして、黙ってしまったセレーネにディアナは言葉を続ける。
「んでもって、もうちょい警戒するってことを覚えようね?」
ニッコリと窓を指差すディアナと、突然過ぎるその言葉を理解出来ないセレーネ。
白地に紅い刺繍がされたカーテンは夜風に靡いており、いつの間にかこの部屋に居るのは彼女とディアナの二人だけだった。
「……まさか」
「そっ。リスティ様、本日二回目の大脱走っ☆女神の噴水にリベンジするんだってさ~。」
柄にもなく慰めてきたと思ったら、そういうことか…
主人が抜け出した窓を眺めつつヘレーネは己れの油断さを後悔し、本日一番大きなため息を吐くのだった。
「ため息吐くと幸せ逃げちゃうよ~?」
「貴方が言わないで下さい…」


