――それから時は過ぎて暦は大陸歴682年。


国民や大臣達から秘密裏に祝われて、リスティーヌは16歳となっていた。


近頃は王国軍に所属し、女騎士として活躍する彼女に、国民達は親しみやすさを感じながらますます女王陛下となることへの期待を抱いていた。


いや、切望していたと言っても過言ではないだろう。


何しろ、リスティーヌの姉である女王陛下の政治的手腕はあまり才能があると言えるようなものではなく、国は貧しくなる一方だったのだ。


一時期は姉を支持していた者達でさえ、いつしかリスティーヌが女王となることを望んでいた。


それ以外に国を立て直す方法が無いと感じたからだ。


しかし、とある吹雪の日に届いた軍事大国セルストからの書状によって、姉君を支持する派の人間達はまさかの行動に出るのだった。