「ディアナ!標的確保よ!」


突然、ベッドの上で笑い転げていたリスティーヌが、勢いよく起き上がってセレーネを指差した。


すかさず聞こえる「合点承知!」の声。


そして、セレーネが気づいた時には既にディアナによって後ろ側から羽交い締めにされていた。


「え?あ、あの、リスティーヌ、様?」


とりあえず、状況が飲み込めない彼女は疑問系で主人の名を呼ぶが、当の本人は怪しげな笑みを浮かべているだけ。


その途端にセレーネの額から一気に嫌な汗が吹き出したのは確かだった。


「残念ね、セレーネ。もう暫くは“リスティーヌ様”でいて貰うわよ?」


クスクスと笑いながら微笑むリスティーヌの言葉は死刑宣告にも似ていて。


何とか抵抗しようとしても、二対一では勝てるはずもなかった。