だが、リスティーヌ達は尚も肩を震わせて笑いを堪えていた。


恐らく、もしもラキアヴェル王国の人間がそれを見たならば、卒倒することは間違いないだろう。


しかし、セルスト陛下はリスティーヌ達が更なる緊張のために震えていると思ったのか、早々に謁見を切り上げ、彼女達を部屋に案内するよう部下に申し付けた。


すると、何とか笑いを耐えたディアナは最後に頭を地面に擦り付けて台詞を述べる。


「今後はリスティーヌ様や我々も、皇太子陛下へ誠心誠意を持ってお仕えしていく所存でございます。此度は我が主への労りの言葉、誠に有難うございました。」


そして、慎ましやかに退室する彼女達の姿を見て、セルスト陛下は人知れず小さな溜め息を吐いた。


今度こそ、我が息子が気に入るような女性ならば良いのだが、と。