何しろ、馬車から降り立つ瞬間の第一声が「さっさと扉を開けなさいよ、このグズ!!」という従者を罵る言葉だったのだ。
あの時は周りの空気が凍りついたのは言うまでもない。
今思えば、そのお陰で皇太子は引きこもり生活を始めたようなものじゃないか?とヴェルファイアは思案していた。
「でも、彼女が居たからこそ今の我々があるのは事実ですよね?」
しかし、ふと彼が漏らした言葉に、オーリスはそっぽを向いて不満そうに頬を膨らます。
「……あの女のお陰だとは思いたくない。」
それは年相応の表情で、ヴェルファイアは思わず12歳らしさが出ている少年の頭をポンポンと撫でていた。
ちなみに、その直後。
彼の鳩尾に「子供扱いするなよ。」と言い放つオーリスの肘鉄が食らわされることとなるのは至極当然の結果、とも言えるだろう。


