「ありゃりゃ、これは凄い歓迎のされようだぁ……」

――一方、馬車の中では、外を伺うディアナが冷静にそう呟いていた。

「……」

そして、豪華なドレスに身を包んだ赤髪の王女様は、ラキアヴェルの貴婦人が必ず被る顔を隠す布の中で緊張のあまりにカタカタと小さく震えていた。


「大丈夫、大丈夫。この国の皇太子って引きこもりだし、絶対バレないって!」

隣にいる侍女姿の少女にそうは言われても、馬車の外から聞こえる大歓声が彼女の緊張をさらに煽る。

というか、どうして自分がこんな服装をしているのか問い詰めたい。

何を考えているんだ。この人は。

その青く透き通った色の瞳を潤ませながら、隣でヘラヘラと笑っている少女を彼女は軽く睨みつけた。