そして現在、その張本人が目の前に居るのだ。
新人達の恐怖は最高潮に達し、中には白目を向いて泡を吹く者もいた。
さらに、泣きながらそんな同僚の意識を覚醒させようとする者もいたが、そんな彼らを見つめるランティスは「あいつら、何をしてるんだ?」と怪訝そうな表情を浮かべるだけだった。
「オーリス。何の用だ?」
しかし、そう思ったのも数秒の間で、近くのベンチに腰を下ろした彼は特にそれを気にした様子もなく、少年にそう尋ねた。
用があるのなら早めに解決させておくに越したことはない。
「ん?何の用かって?」
しかし、それを聞いたオーリスは、クスクスと笑いながらベンチ越しにランティスの首元へと手を回した。
「相変わらず、冷たいなぁ~。用事が無かったら遊びにきちゃ駄目なの?」
どうやら、特に理由があるわけではないらしい。