「美結」


「ん?」


「なんか、キスしたくなった」


そう言われて、顔が赤くなる。


「でも、おでこで我慢する。本当に風邪うつさせたくないし」


そう言って愛人が少しだけ背筋を伸ばし、私のおでこにそっとキスを落とす。


「でも、さっき一緒に寝ちゃったから、もううつってるかも」


「じゃあ、唇にしてもいい?」


コクンと頷くと、そっと唇同士が触れ合う。


「元気になったら、美結にいっぱい触れていい?」


「うん」


「じゃあ、早く元気になる」


「うん」


もう一度キスを落として、愛人はまた眠りについた。


それから数日後、熱が下がった愛人はまた忙しい社長の仕事に戻っていった。