「はちみつレモンだよ。飲める?」


「ああ」


愛人にカップを渡して、ベッドの上に置かれた体温計を手に取る。


38度5分という熱に、少しだけため息が出てしまった。


「早く熱下がるといいね」


「そうだな。じゃないと、仕事出来ないし」


「もう。熱下がるまでは仕事しちゃダメだからね。会社行くのも禁止!」


少し怒っていうと、ハハッと笑った愛人がいつもより熱い手で私の頭をなでた。


「これ、おいしいな」


愛人がカップの中身を見つめる。


「よかった。これね、私が風邪ひくとママがよく作ってくれたの」


「そっか」


ゆっくりとはちみつレモンを飲み干す愛人。


「ごちそうさま」


「うん」