愛人の額に吹き出た汗を、そっと濡れたタオルで拭く。


「んっ……」


タオルが冷たかったのか、愛人の目がゆっくりと開いた。


「ごめんね。起こしちゃったね」


「大丈夫」


愛人の体調に不安を感じてから数日、私の嫌な予感は当たり、愛人は熱を出してしまった。


病院で見てもらったら、疲労からくる風邪だって言われた。


「飲み物用意してくるから、熱測っててね」


「わかった」


電源を入れた体温計を愛人に渡し、寝室を出た。


キッチンに行って、はちみつレモンを作る。


これは私が風邪をひくと、いつもママが作ってくれたもの。


甘酸っぱいはちみつレモンを飲むと、風邪なんて一気に吹き飛んでしまうように感じた。


「お待たせ」


私の声に、愛人がゆっくりと起き上がる。