「美結さ」


「ん?」


「向こうに行ったら、また習字の先生やるの?」


「うーん、しようかな。生活が落ち着いてからだけど」


愛人が大学3年のとき、私はアメリカで習字の塾を開いた。


習字の塾を開いたのは、本当にたまたま。


私が習字を書いてるときに隣に住んでたリンダが訪ねてきて、私もやりたいとリンダが言ったことが始まり。


最初はリンダだけだったんだけど、そのうちリンダの友達やその子供たちが来るようになって、最終的には10数人の生徒さんが出来た。


筆とか墨とか、アメリカでは手に入りにくいものはママに送ってもらって、みんなで楽しくやってきた。


愛人が大学を卒業するときに塾は閉めちゃったんだけどね。


「でもやりたいって人いるかな?」


「いるんじゃない?日本の文化に興味ある人もいると思うし」


「そうかな?」


今度住むところは、今まで愛人と住んでたところと違うからな。


そこでも、日本の書道を知ってもらえれば嬉しい。