「で、こっちがクロエ。宝石会社の社長」


「えっ?社長さん?」


「正確には支店長。パパがやってる会社の一店舗任されてるの」


そう言ってクロエが言った会社名にビックリ。


世界中に店舗を構える有名宝石店で、私と愛人もそのお店の日本支店で結婚指輪を買った。


「なかなか業績いいのよ」


「そっか。そうなんだ」


「だってパパが社長だからお店任されたなんて思われるの嫌だもの」


クロエがサラサラの茶色の髪をかきあげる。


その指にはキラキラ光るクロエの会社の指輪、耳には指輪とセットのピアスがしてあった。


クロエは、顔がきゅっと引き締まっていて少し強気な感じの美人さんだった。


「で、最後はレイラ。ファッション雑誌の編集長」


「編集長って、一番偉い人だよね?」


「まあね。一冊あげる」


レイラがブランド物のバックから、一冊雑誌を取り出して私に渡してくれる。