「ねえ、マー君」


「ん?」


「今日、何時に帰ってくる?」


朝食を食べ終わった後、愛人にネクタイをしてあげながら今日帰ってくる時間を聞く。


これが毎朝の日課。


「今日は早く帰って来れるよ」


「ほんと?じゃあ、マー君の好きなご飯作って待ってるね」


「ああ」


愛人が優しく私の頬をなでる。


「美結は今日から、習字の先生やるんだろ?」


「なんかベラがね、友達連れてくるって言ってた」


二人で廊下を歩きながら、玄関に向かう。


「じゃあ、いってくるな」


「うん。いってらっしゃい」


愛人に鞄を渡すと、チュッとキスをしてくれた。