秘密な花嫁~旦那様は同い年~番外編

「あれ?なんかつかないよ美結」


すぐに墨が擦れてしまい、ベラが私に声をかけてきた。


「あっ、ちょっと待ってて」


硯石に入っていた摺った墨をふたが出来るガラスの容器に移し、そこに墨汁を注ぐ。


「はい。これでさっきみたいにやってみて。紙も自由に使っていいからね」


「うん」


ベラには申し訳ないけど、習字初心者には墨汁で十分。


摺った墨を使うのは、少し勿体ないかな。


「これ、私の友達にも進めようかな」


「ほんと?そうしてくれたら嬉しいな」


ここでも習字の先生出来たらいいな。


主婦が嫌なわけじゃないけど、一日家にいるのはつまらないから、何かしたい。


せっかく師範の免許を持ってるんだから、それを活かさないと。


別の硯石を出して、ガラスの容器に移した墨を戻す。


それからもう一度私も書き始めた。