「美結と、もっと一緒にいたいから」


「じゃあ、今度の休みに電気屋さん行く？」


「いや。向こうで買う。そっちの生活の方が長くなりそうだし」


「そうだね」


日本に帰って来たばっかりの私たちだけど、もうすぐまたアメリカに引っ越す。


アメリカの福田会社の社長が体調を崩し、代わりに愛人がその役に就くことになったの。


これは福田会社の社長、つまり愛人のお父さんの判断。


最初はまだ無理って断った愛人だったけど、アメリカの会社の重役に就く人たちはみんなお義父さんと親しく、経験のない愛人のフォローに回ってくれるから安心してやってこいと言われたらしい。


お義父さんは福田会社に勤め始めたころ、社内研修だって言われてアメリカの福田会社で何年か働いてたんだって。


そのとき一緒にしてた人たちが、今重役に就いてる人たち。


だから安心して、愛人に社長という役を与えた。


「マー君、コーヒーと紅茶どっちがいい？」


食器を洗い終え、リビングのソファーに座ってる愛人に声をかける。


「紅茶」


「分かった」