「マー君?」


目を擦って周りを見ると、もう車から下りていて、私は愛人にお姫様だっこされていた。


「ごめん、マー君。重いよね」


「いいよ、そのままで。一緒に部屋に行こう」


「うん」


私を抱き上げながらスタスタと歩く愛人の後ろを、ニックさんがついてくる。


「悪い、開けてくれるか?」


「はい」


玄関前まで行くと、愛人の言葉にニックさんが玄関を開けた。


私のヒールを持っていたニックさんが、玄関に綺麗に並べておいてくれた。


「では、私はこれで失礼します」


「ああ、お疲れ」


「おやすみなさい」


ニックさんは私たちに向かって少し微笑むと頭を下げ、玄関を出て行った。


愛人に抱かれたまま、寝室に連れて行かれる。