「美結、ニックの後ろにいるのがダニエル。ニックの息子」


「ニックさんの息子?」


愛人が私にダニエルさんのことを紹介してくれる。


「ニックの下で秘書の勉強をしてたんだけど、そろそろニックの仕事を引き継いでもらおうと思って」


「ニックさんの仕事を引き継ぐって、マー君の秘書になるってこと?」


「そういうこと」


愛人がこくんとうなずく。


「はじめまして、美結様。ダニエルと申します」


ダニエルさんが私に向かって頭を下げる。


「こちらこそよろしくお願いします」


そう言って頭を下げると、ダニエルさんがニコッと笑った。


ダニエルさんもニックさんと同じく、青みがかった瞳と栗色の髪が印象的なカッコいい人だった。


「そうだ。今日、奥さんは?」


愛人がダニエルさんに話しかける。


「ええ、いますよ。ベラ」