それから愛人のところには、たくさんの人が挨拶にやってきた。


もちろん全て英語。


私も英語は慣れてるけど、でもビジネス英語はあまり分かんないんだよね。


「愛人様、美結様」


しばらくして愛人の周りが落ち着いてくると、ニックさんが現れた。


「お疲れになりましたか?」


「少しだけ。美結も疲れただろ?」


「私は、マー君の隣に立ってるだけだから。マー君の方が心配だよ」


そう言うと愛人が優しく笑って、私の頭をなでてくれた。


「この後少し、お時間をいただきたいのですがよろしいですか?」


「ああ。引き継ぎ?」


「はい」


ニックさんが少し頭を下げたのと同時に、ニックさんの後ろに立っていた男の人も軽く頭を下げた。


この人、誰だろう?


ニックさんに少し似てる感じがするけど。