「ただいま」


「あっ、パパだ!」


夜になって、仕事が終わった愛人が家に帰ってくる。


「美心、ゆっくりだよ」


「はーい」


リビングで絵を書いていた美心は、玄関から愛人の声がしたと思うとハッと顔を上げて走り出そうとするから、キッチンから声をかけて走らないように念を押し、私も手を拭いて急いで玄関に向かった。


「ただいま。美結、美心」


「おかえり、マー君」


「おかえり、パパ」


ヒョイっと美心を抱き上げた愛人は、美心を抱いていない方の手で私の肩を抱き寄せ、そっとキスをしてきた。


「あー美心も」


「ハハッ。じゃあ、美心もな」


そう言って愛人は、美心の頬にキスを落とす。


「ママもして」


急かされて美心の頬にキスをすると、美心は満足そうに微笑んだ。