「移れるかしら?」


「あっ、俺が」


看護師さんが手を貸してくれるのを断って、愛人が私を抱き上げ車椅子に乗せてくれた。


「素敵な旦那さんね」


そう言って看護師さんが、私に向かってウインクをする。


「ハハッ」


その言葉に恥ずかしくなった私は、思わず照れ笑いを浮かべてしまった。


「じゃあ、行きましょうか」


「はい」


愛人が私の車椅子を押し、看護師さんの後をついて行く。


その後ろを、パパたちがついて来た。


美心がいる病室に近づくにつれて、期待と不安が大きくなる。


病室に入る前にお医者さんが着る手術服みたいなのを着て、中に入った。


「この子があなたたちの赤ちゃんよ」


そう言って看護師さんは、私たちを美心のいる保育器の前に連れていってくれた。