秘密な花嫁~旦那様は同い年~番外編

「じゃあ、始めようか」


クリス先生の合図で、分娩室の中に入ると早速手術が開始された。


赤ちゃん生むって、ほんとはもっと大変なんだと思う。


この方法が赤ちゃんにとって一番負担が少ないって分かってるけど、自然な形で生んであげたかったなって少し思う。


どれくらい時間がたったのかは分からない。


しばらくすると、小さくて弱々しいけど、しっかりとした泣き声が私の耳に届いてきた。


「おめでとう、女の子だよ」


クリス先生が私の傍に赤ちゃんを連れてきて、抱かせてくれる。


「ありがとう、生まれてきてくれて。それから、これからパパとママと頑張っていこうね」


「じゃあ、向こうに連れていくね」


「はい。お願いします」


ほんとはもっと触れたかった。


外で待ってる愛人にも、抱っこさせてあげたかった。


でも、今のこの子には、そんな時間はなくて、きっと息をするのも大変だったと思う。


早く苦しいのから助けてあげるからね、と心の中で呟いて、私はそっと目を閉じた。