愛人から電話を受け取って、耳に当てる。


「もしもし、お義母さん?」


『美結さん?ごめんなさい。あなたたちの赤ちゃんにまで、病気が……』


「マー君も言ったけど、お義母さんは悪くないよ。誰も悪くない。大丈夫。だって、私たちの子供だもん。今までだって、ちゃんと乗り越えてきたでしょ?」


『でも……』


お義母さんに伝わるように、ニッコリと笑顔を作る。


「私も、マー君も、ちゃんと前を向いてる。お義母さんも、私たちのこと応援してくれる?」


『それは、もちろん』


「じゃあ、もう悲しむのはやめよう?私たちが悲しんだら、赤ちゃんはもっと悲しくなっちゃう」


『そうね』


少しだけ、お義母さんの声に明るさが戻ってきた。


「美結、かわって」


「うん」


愛人に電話を渡す。


「母さん、時間があれば会いに来て。美結も俺も、赤ちゃんも待ってる」