「分かった。マー君、もう仕事行っちゃうよね」


壁に掛かっている時計を見ると、もうすぐ昼の12時。


「ああ、そうだな。仕事しないと、美結と赤ちゃんを守れないから」


そう言って笑った愛人は、優しく私の頭をなでた。


「でも、そんな寂しそうな顔されると、行きたくなくなるけど」


チュッと音をたててキスをされる。


「ちゃんとご飯食べて」


「うん」


「夕方来るよ」


「うん。ちゃんと赤ちゃんと待ってる」


そう言うと、愛人は優しく笑って私の頬をなでてキスをして、病室を出ていった。


それからしばらくしてご飯が出されて、愛人と約束した通りしっかり食べた。


当たり前だけど、個室は一人だからすることがない。


もう少ししたら検査の時間だけど、それまで何してよう?


テレビはつまらないから、家から持ってきた数冊の雑誌に目を通すことにした。