「おいしい?って、美結が剥いたやつだけど」


愛人が苦笑いを浮かべながら私に聞いてくる。


「うん、おいしいよ。マー君が食べさせてくれるから」


「そっか。でも、明日からは俺がいなくてもちゃんと食べて。美結と赤ちゃんのために」


「うん。分かってる」


小さく頷くと、愛人は安心したように笑った。


それから食卓に用意してあった朝ごはんを全部リビングに運んで、二人でゆっくりと食べ進めた。


「じゃあ、いってくるな」


「うん。いってらっしゃい」


朝ごはんを食べ終わると、愛人は仕事に出かけて行く。


それを見送って、洗い物を始めた。


「ねえ、赤ちゃん。今日の調子はどう?」


私の毎日の日課は、赤ちゃんに話しかけること。


「ママは元気だよ。パパもね、元気だよ」


洗い物を終えた手を拭いて、そっとお腹をなでた。