病気が分かってすごく辛い。


だけど、だからといって、この子を諦めればよかったとは思わない。


「また辛い思いするのはヤダよ」


「うん。ごめんな」


「でも、この子を生まないなんて、もっとヤダよ」


「そう、だよな」


愛人が握っていた手をそっと離して、涙で頬にはりついた髪をよけてくれる。


そして目尻にキスをしてくれた。


「美結」


「ん?」


「病気の辛さは、俺がよく分かってる。それから、病気の子を持つ家族の気持ちも」


「うん」


私の目をしっかりと見つめる愛人。


「俺が、支えるから。美結も、この子も、絶対俺が守ってみせるから」


「うん」