「今日はこの部屋使いませんから。自由に使ってくださいね」


そう言って看護師さんは、静かに部屋のドアを閉めた。


「美結、ベッド使わせてもらおう」


愛人に言われるまま、ベッドに横になる。


私の頭を優しくなでたあと、ベッドの横にあった椅子を出し、そこに座った愛人は私の手を両手で握り締めた。


「ごめんな、美結。ほんとごめん」


「ふぇっ……」


愛人が謝るから、余計に涙が出てくる。


「俺、また美結に辛い思いさせてる」


「マー君……」


つないだ手をおでこに当てて、深いため息をつく愛人。


「こんなに泣かせてしまうなら、やっぱり子供は諦めれば……」


「イヤ」


「美結?」


「それはイヤ」