「マー君、気持ち悪い」


「吐きそう?」


小さく頷くと、私を抱き上げて洗面所まで連れていってくれた。


「けほっ」


「全部吐いたらいい。そしたら楽になるから」


そう言って愛人は背中をさすってくれる。


出るものなんてほとんどないのに、一向に気持ち悪さは治まらない。


「もう、大丈夫」


それでもしばらくすると、やっと落ち着いてきた。


「タオル。口拭いて」


「ありがと」


愛人が濡らしてくれたタオルを受け取って、口を拭く。


「ちょっと待ってて。水、持ってくるから」


「うん」


洗面所を出ていった愛人は、すぐに冷蔵庫からミネラルウォーターを持ってきてくれた。