愛人の唇が、そっと私の唇に触れる。


「ごめん、美結。酷いこと言って」


「赤ちゃんにも謝ってね」


「うん。ごめんな、パパになるのに、酷いこと言って」


私のお腹をなでながら、愛人が赤ちゃんに謝る。


「たとえ何があっても、一緒に乗り越えようね」


「ああ」


「この子を守ってあげられるのは、私たちだけだから」


「そうだな」


愛人が不安になる気持ちはすごく分かる。


だけどね、それ以上に二人でなら、何があっても乗り越えていける気がするの。


だって今までだって、二人で乗り越えてきたんだから。


「でも、マー君」


「ん?」


「何があっても、なんて考えるのはやめよう」