「美結は、強いな」


「うん。私は、強くなったの。愛人に出会ってから」


ほんの少しだけ、愛人が自分からお腹に触れてくれる。


「愛人と一緒に生きていくって決めてから、私は強くなったんだよ」


「うん」


「でもね、私一人じゃまだまだ弱いの」


お腹にある手とは反対の手で、愛人の頬に触れる。


「マー君がいないと、私は弱くなっちゃうの。どんなに覚悟があっても、一人だど、赤ちゃん育てられないの」


「美結……」


「一緒に、パパとママになろう?大丈夫、マー君。なんにも心配いらないよ」


そう言って笑うと、愛人の表情が少しだけ柔らかくなった。


「この子の、パパになってくれますか?」


「俺、なれるかな?この子の父親に」


「うん。なれるよ」


「美結」