「そうだな。ごめんじゃ分かんないよな」


愛人が私の頭をなでる。


「俺、怖いんだ」


「怖い?」


私の頭をなでていた手が止まる。


「怖いってなに?」


涙を拭って、愛人を見つめる。


「心臓」


愛人がギュッと、自分の心臓があるところのシャツを握った。


「俺の病気は、遺伝する可能性がある。もし子供に病気が遺伝したらって思うと、怖くてたまらない」


「マー君……」


「俺は、自分がした辛い思いを子供にまでさせたくない。だから、子供は……」


「そんなこと言わないで、マー君」


ベッドの上にあった愛人の手をギュッと握る。


「そんなこと言わないでよ」