「うん。でも、夜中に外出るのは禁止な。危ないから」


「うん。約束する」


愛人が私の髪にキスを落とす。


それから車に揺られること、数十分。


「着きましたよ」


ニックさんが運転席を下りて、後ろのドアを開けてくれる。


「ありがと」


愛人が先に下りて、当然のように私に手を差し出してくれた。


その手を握って、車を下りる。


「では明日、9時に迎えに参ります。お疲れのところ申し訳ありませんが、引き継ぎがありますので」


「分かった」


「美結様も十分お休みください」


「はい。ありがとうございます」


「では、失礼いたします」


ニックさんは頭を下げて、車に戻って行った。