「そっか……」


それだけ言うと、愛人が一瞬ギュッと私の手を握り立ち上がった。


「マー君?」


「ごめん、着替える」


「あっ、うん」


ベッドの傍でネクタイを解き始めた愛人を、起き上がって見つめる。


愛人は、何となく思いつめた表情をしているように感じた。


喜んでくれなかった……。


どうして?私はこんなに嬉しかったのに。


「マー君」


「ん?」


着替えている愛人に、そっと声をかける。


「赤ちゃん、嬉しくない?」


「……」


着替えをしたまま、愛人は何も答えてくれない。