「ちゃんと買った」


「ふふっ」


即答で答える愛人に、思わず笑みがこぼれる。


住むところは、会社の近くの高級アパート。


これは二人で決めて家具や電化製品は全部付いてたんだけど、全部取り外して自分たちに合ったのを愛人がこの前アメリカに行ったときに全て揃えてくれた。


「新しいお家、楽しみだな」


「ちょっと会社から近過ぎたかもな」


「そんなことないよ」


会社と新しい家は、歩いて10分くらいの距離。


「近い方がいいもん。そしたら、いつでもマー君に会いに行けるから」


「これから家に帰れない日もあるかもしれないしな」


「うん」


私のパパや、愛人のお父さんを見てると、社長の仕事がどれだけ大変か分かる。


忙し過ぎて、愛人が家に帰ってこれない日もあるかもしれない。


「仕事の邪魔しないから、会いに行ってもいい?」