「えールート3分の2。分母を有理化するんだ」


今は数学の授業中。
俺たちの数学の教科担任は教え方が上手なんだが、あまり真剣に
話を聞こうとする人はいない。
大半の理由は分かる。数学が苦手とか嫌いだからだ。まぁでも仕方がない。
数ⅰならまだそこまで難しくはない。これが数Aとか数ⅲになってくると厄介なことになる。
分かる人と分からない人がハッキリと区別されるんだ。


賢志は・・・真面目に聞いてるな。
彼奴は基礎力診断テストで成績上位者だった。まぁ、
あくまでも基礎力診断だ。賢志もそこまで深くは考えていないようだし。


チャイムが鳴り、授業を終了して先生が退出していく。


「よし!次の時間は体育だな賢志!」

「そうだね。あまり乗り気じゃないけど」

「なんでだ?」

「そりゃまぁ・・・苦手だし」


やれやれ。吾ながら情けない。
大暉は足も速いしよく動ける。羨ましいよ。


「中でバスケでもやるのかな?」

「だと良いんだけどなー。バスケやりたいぜ!」


すると同じクラスメイトである「仁志(ひとし)」が話しかけてくる。

「俺もだ。久々に思いっきり身体を動かしたいところだ」

「確かにそれはあるね。運動しない訳にもいかないし」


そう弥が答えた。
彼等は二つある体育館のうち古い方の体育館へと向かった。