僕の忠犬ハチ公




***

 学校へ着き、駐輪場に自転車をとめると、俺と小梅は二人並んで玄関へと歩きだした。

「おい、あれ見ろよ」

「うわっ、ハ田が男と一緒にいる。超ありえねぇ」

「ねぇ、ハ田さんと一緒にいる人って田村君だよね?」

「あ! ホントだ! あーあ、田村君もおちたね」

 歩きだして一分もしないうちに、周りの生徒達が、俺達のことをヒソヒソと話しはじめた。

 隣の小梅を見ると、眉を下げ、俯きかげんの顔に、不安の色がおびている。

 俺は、隣で元気なく揺れる小梅の手を、そっと握った。

「!」

 小梅はかなり驚いたようで、バッと勢いよく上げた顔を俺に向けた。

 俺は、小梅の驚きと純情を現したどんぐり眼と、僅かに染まった頬を見つめ、「大丈夫」そう言ってわらいかけた。